平成29年の施行からなかなか普及が進まない安心R住宅制度。弊社では適正価格による不動産取引の推進に日夜取り組んでいますが、安かろう悪かろうのイメージが刷り込まれた中古住宅市場において、品質の高い中古住宅も悪いイメージに引きずられ適正な価格で取引が成立しない状況を打ち破ることはかなり骨の折れる作業です。そんな中古住宅市場を変革しようと国が創設した制度が安心R住宅制度なのです。そして弊社が所属する全国宅地建物取引業協会連合がさらに消費者に安心して頂ける要件を付加したものが「全宅連 安心R住宅」です。
弊社ではいち早くその「全宅連 安心R住宅」制度を採り入れ、「中古住宅 西観音町 2550万円」が全国初の「全宅連 安心R住宅」として広告できるようになりました。その後、「中古住宅 大坪本町 3200万円」も基準をクリアして「全宅連 安心R住宅」としてご紹介をしています。さらに下関市の同業者であるネオライフ山口さんの「中古住宅 垢田町 2298万円」も「全宅連 安心R住宅」となっています。たった3物件、されど3物件。全国的にもまだまだ数えるほどしかありません。
このように安心R住宅制度の普及が進まない理由として考えられるのが、制度の肝でもある品質確保と住宅情報開示義務です。端的に申し上げると、品質確保にはコストがかかり、住宅情報開示義務には手間がかかる。つまり不動産屋は面倒でお金のかかる「全宅連 安心R住宅」を売るよりも、今まで通り中古住宅はお金と手間をかけずに少しでも安く売ったほうが楽なのです。まさに中古住宅市場の負のスパイラルとも呼ぶべき状況が壁となって、安心R住宅制度はなかなか普及しないのです。やはり中古住宅は安かろう悪かろうであるべきなのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。弊社のIMPLE HOUSEへ頂く全国からのお問い合わせの声を聴くと、確実に新しい価値観が生まれていることを実感します。品質を求めるなら新築しかなかった時代、情報の非対称性により必要な情報が得られなかった時代。そんな中古住宅の暗黒期は終わりを告げ、次の新しい時代が幕を開けようとしています。
高い品質を持つ中古住宅の魅力を伝える作業は地味でとても手間がかかります。なぜそんな非効率的なことをするのか。高い品質を持つ中古住宅は職人の地味でとても手間がかかったものだからです。我々不動産屋は中古住宅に込められた職人さんの技術やプライドを住まい手に橋渡しする存在であるべきだと思います。
安かろう悪かろうの使い捨てのような建物は存在しますし、現在も新しく造られ再利用され続けています。その存在を否定するつもりはありません。ファストフード、ファストファッションなどと同じく時代のニーズがあるものにはそれなりの価値があります。それ以上でもそれ以下でもない価値が。不動産の適正価格による取引の推進は、不動産の多様性を理解することから始まります。
「全宅連 安心R住宅」について、少し興味を持っていただけましたでしょうか。 R.01.09.26