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キャピタルロスを生む住宅政策 ストック型社会の足枷

 良いモノは長持ちします。

 長持ちするモノには愛着がわきます。

 愛着がわくとモノを大切にします。

 大切なモノはかけがえのない存在になります。

 

 現在の日本の住宅政策は、住宅をかけがえのない存在にすることが出来るものではないように感じます。住宅の長寿命化や消費エネルギーの削減を目指すことは大事なことです。しかし、かけがえのない存在である住宅を無価値とみなす市場を変えない限り、スクラップアンドビルドのスパイラルは止めようがありません。そして市場を変えるには住宅政策の抜本的な転換が求められます。

 

 現在の日本の住宅政策は、新築住宅へのインセンティブが中心です。固定資産税の軽減措置や住宅ローン控除などしかり、銀行の担保評価も築後年数だけで判断される場合があります。住宅を長く大切に使うことにたいするインセンティブが欠落しています。つまり現状の住宅政策は、消費者の新築志向に拍車をかけ住宅の資産価値が新築時を頂点に下がり続ける中古住宅の流通市場を支える仕組みになっているのです。このような構造的な欠陥をかかえたままでは、いくら良い住宅をつくってもその努力が無駄になります。

 

 空き家問題を解決しストック型社会への転換を目指すのであれば、住宅の新築をしない選択を優遇する必要があります。例えば住宅売却の際、築後年数が増えれば増えるほど多く貰える助成金制度の創設などで、住宅のキャピタルロスを補填することも有効な方法だと思います。もともとは政策により作られた住宅のキャピタルロスが解消されることで、高い品質の中古住宅の流通が活性化し、市場の規模も拡大するでしょう。現状の中古住宅の流通市場は、高い品質を求めるニーズを満たす物件が少なすぎます。

 

 現在弊社が取り組んでいる買取再販事業「IMPLE HOUSE」は、既存の中古住宅市場を持続可能なストック型社会のニーズに適合した形へと改革する取り組みだと考えています。住宅政策の転換はなかなか進んでいませんが、住まいに対する人々の意識は確実に変化しています。「IMPLE HOUSE」が、そんな新しいニーズに対応する数少ない資産であることに喜びと誇りを感じます。    R.02.10.19