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水害ハザードマップの種類について リスク情報の周知義務

 近年頻発する大規模水災害は日本中に甚大な被害をもたらしています。地球温暖化による海水温上昇は、線状降水帯を伴う豪雨発生の要因となっており、温暖化がすすめば更に多くの大規模水害が発生することになるでしょう。そのような災害に備えるために水害ハザードマップの周知が必要です。先週7月17日に宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令の交付がありました。

 

 不動産取引時(売買、賃貸)において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明が義務化されます。施行日は令和2年8月28日です。宅建業者は水防法に基づき作成された水害ハザードマップの提示をしなければならないのですが、そもそもその水害ハザードマップとは何を指すのか、水害の種類と合わせて調べてみました。

 

 水害は、洪水・雨水出水・高潮の3つに分類されます。洪水は、川の堤防決壊などにより川の水が溢れ出すことです。それによる浸水を外水(がいすい)氾濫と言います。雨水出水は、公共の水域に雨水を排出できなくなり水が溢れ出すことです。それによる浸水を内水(ないすい)氾濫と言います。高潮は、台風など強い低気圧の影響により波が高くなると同時に海面の水位も上昇することです。地震などで引き起こされる津波とは区別されます。満潮や大潮の時期と重なると被害が大きくなります。

 

 これらの水害に対して、「水災を警戒し、防御し、及びこれによる被害を軽減し、もつて公共の安全を保持することを目的とする」法律を水防法と言います。この水防法の規定に基づき作成されたハザードマップが、今回の宅建業法施行規則改正の対象となります。ちなみに現在、下関市のHP上に掲載されている「高潮ハザードマップ」・「内水ハザードマップ」・「洪水ハザードマップ」は水防法に基づくハザードマップです。

 

 先月のブログ記事「人知れずひっそりと更新されたハザードマップ」で、市民の命にかかわる大切な情報の周知が徹底されていない状況について苦言を述べましたが、法律が改正され宅建業者の義務となったことでその責任の一端が不動産屋にものしかかります。弊社では最新の情報を義務化云々に関わらずお知らせしてきましたが、情報提供の姿勢は業者間でバラバラなのが現状です。契約直前に知らされるといった状況もあるでしょう。

 

 このような大切な情報は不動産取引の検討段階で当事者は知っておかなければなりません。災害に関するリスク情報を率先して顧客へ提供することが不動産業界では当たり前になるよう努力したいと考えます。      R.02.07.20