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子どもの人権を無視した教育論争

 子どもの教育を受ける権利がないがしろにされています。この憂慮すべき人権侵害問題を一刻も早く解決する術を議論すべき時に、なぜ9月入学について検討をするのでしょうか。受験時における公平性の確保は大切な問題ですが、今問題なのは子どもの教育を受ける権利が守られていないことです。憲法を無視した議論が展開される状況にうんざりします。

 

 教育を司る文部科学省は現在どんな動きをしているのでしょうか。この度成立した補正予算をみると、文部科学省は2,763億円を計上しています。そのうち2,292億円を「GIGAスクール構想の加速による学びの保障」に充てています。「GIGAスクール構想」とは何かご存知でしょうか。

 

 【GIGA=Global and Innovation Gateway for All】

 全ての生徒にグローバルで革新的な入口を整備する事業、つまり教育ICT(情報通信技術)環境の整備事業のことです。要は西欧諸国と比べ遅れているハード面での整備であり、肝心の教育内容について具体的なものは見えません。現在文部科学省のホームページ上では、補助対象となる端末がまるでショッピングサイトのように紹介されています。

 

 「未来を見据えた考え方」と言えば耳障りの良い言葉のようですが、実際は現実の問題から目をそらした論点のすり替え、はぐらかし、改ざんといった現代社会の病理の一種と同じように感じます。未来の為に今の子どもたちが犠牲となる話は論外です。目の前の子どもたちの人権を守る施策を期待するのは贅沢な話でしょうか。

 

 日本国憲法 第99条

 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

 憲法を尊重し擁護する議論が展開されることを願います。       R.02.05.02