2020年4月29日、コロナ対策等を盛り込んだ今年度補正予算案が衆議院本会議で可決され、参議院へ送られましたが、その審議で気になる点が二つありました。
一つは、立憲民主党の枝野代表の「災害救助法の災害を適用すべき」という訴えに対する西村経済再生相の「(内閣)法制局と相談したが災害と読むのは難しい」と答えた点。弁護士の津久井進さんの指摘について、先日ブログ「新型コロナウイルス問題を災害として考える」でご紹介しましたが、法制局は新型コロナウイルスを災害とは考えないから、西村大臣としてはそれに従うまでだと仰っているようです。
内閣法制局は、政治家が法律を都合よく拡大解釈させない抑止力と考えたらよいのでしょうか。「新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する新型インフルエンザ等とみなし、同法に基づく措置を実施する必要がある」として内閣が特措法改正案を提出したのは先月10日のことでした。同様に、新型コロナウイルス感染症を災害とみなすために、一日も早く災害対策基本法や災害救助法の改正案提出を期待したいところです。
もう一つ気になった点が、これも立憲民主党の枝野代表の指摘ですが、補正予算の中にある経済産業省関係の予算についてです。「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」として、観光・運輸業、飲食業、イベント等に対する支援「Go To キャンペーン」(仮称)を実施するための予算1兆6,794億円を計上しているのです。枝野代表は今やるべきものではないと、これの再考を求めましたが、安倍首相は聞く耳を持っていないようでした。
コロナ禍の終わりが見えない状況で、今年度予算に計上するという判断は、少なくとも今年中にコロナ禍が収束する見通しを政府は持っていると考えるのは拡大解釈でしょうか。常に最悪のケースを想定し、それに対応できるように備えるならば、「Go To キャンペーン」(仮称)とはならないと思います。すでにどれだけの企業が倒産や廃業に追い込まれたのか、政府は把握しているのでしょうか。
先日ニュージーランドでは、アーダーン首相が「(コロナとの)闘いに勝利した」と宣言しました。1980年生まれのジャシンダ・アーダーン首相は、現職の首相として初めて6週間の産休を取ったことでも話題になりましたが、新型コロナウイルス感染症に対しては、早期対策を徹底しロックダウンを実施。手厚い補償や国民との密なコミュニケーションで国民の理解も得られたようです。
ニュージーランドは、1893年に世界で初めて女性が参政権を獲得した国だそうです。それに比べて…と言ってもはじまりませんが、このコロナ禍における対応と結果の大きな違いは、自分の国を誇れるかどうかという国民感情に表れることでしょう。 R.02.04.29