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令和2年地価公示の示すもの

 昨日3月18日令和2年地価公示が発表されました。下関市においては新下関エリアの地価上昇が目立ちます。新下関エリアは近年、大型商業施設の集客力が大きい上に、宅地供給が少ない状況から不動産市場において希少性が高まっている状況が続いています。

 

 しかし市内全体でみると地価の下落傾向は続いています。彦島や旧市内の商業地域の下落率が目立っています。大型商業施設の地価に及ぼす影響力は全国的にも顕著なようです。今年の公示地価は、人々が集まる場所とそうでない場所の差が、色濃く反映されたものだと思います。このような地価の上昇や下落は、世の中の景気の動向を反映するものと考えられます。しかし、大型商業施設の有無で大きく左右される地価とは、実体経済を正確に反映したものとは言えないと考えます。

 

 昨今の新型コロナウイルス感染騒動の中、マスクの買い占めによる価格高騰が問題となっています。独占や寡占は市場の不均衡を生み、需要と供給のバランスが崩れ、供給側の恣意的な価格設定を許すこととなります。需給不均衡となった市場はバブル状態となり、そしていつしかバブルは崩壊します。地価上昇の要因を探れば、実体経済を反映したものなのかどうかの判断につながります。つまり新下関エリアの地価上昇はバブルであり、景気の上昇を示すものではないと考えられます。

 

 不動産には適正価格が存在します。バブルだと理解して高い価格で土地を購入する場合は、売るときは必ず値下がりすることも覚悟しなくてはなりません。大型商業施設の撤退に苦しむ自治体も全国では散見されます。適正価格より高いか安いかの判断はプロでも難しいものです。しかし、バブルかどうかの判断は比較的容易にできます。不動産会社の行う価格査定は、地価の背景を考慮するものであり、適正価格との乖離を説明できるものです。

 

 地価の上昇率や下落率に一喜一憂するだけなら、新聞記事を読むだけで誰でも出来ます。不動産のプロなら、もっと違う視点や見解をそれぞれが独自に持っているはずです。不動産屋さんを訪れる際は、ぜひ地価公示に対する見解を尋ねてみてください。その不動産屋の力量が測れるはずです。     R.02.03.19