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住まいの介護力 住宅デザインの転換点

 先日一級建築士の安楽玲子さんが出演されたNHKの番組「ハートネットTV」を視聴しました。安楽玲子さんについては【住まいで「老活」 発行:株式会社岩波書店】という書籍を拝読し存じ上げておりました。番組では安楽さんのご自宅でのお母様の介護や、住宅改修のポイントなど、「住まいの介護力」というキーワードで在宅介護の工夫がわかりやすく紹介されていました。

 

 人は誰でも老いていきます。元気なうちは気付かなかった住まいに潜む様々なバリア(障害)が、その時を迎えると高齢者やその介助者に立ちはだかり、介護が重い負担となってのしかかります。人生100年時代と言われる時代に、バリアフリーを意識しない住まい設計はナンセンスです。介護が必要になれば施設に入れば良いと考える方には安楽さんの上記の著書をぜひ読んでいただきたいと思います。

 

 人はそれほど器用に環境変化に適応出来るものではありませんし、老いとともに適応力も衰えてしまいます。高齢者にとって住み慣れた家は、健康寿命を延ばす大切な装置だと思います。だから高齢者の引越しは慎重に考えなければなりません。しかし現在の多くの日本の家には、広さや構造的な問題から「ついの住まい」となり得ない状況があるようです。

 

 例えばトイレ。介護が必要な状態の場合に介助するスペースがとれなかったり、寝室から遠い位置に配置されていたりするケースが多いようです。排泄はデリケートな生理現象ですから、極力自力で出来る環境であることに越したことはありません。また、介助スペースが確保されていれば介助者の負担軽減につながります。本人の認知機能にも大きな影響を及ぼすトイレは、使い勝手を考慮した広さを確保しなければならないと思います。

 

 中古住宅の場合、狭い廊下で仕切られた細切れの部屋や、数々の段差など、バリアフリーの観点から考えるとなにかと問題が多い家がみられます。そして、残念ながらリフォーム済の物件として販売される買取再販物件の多くはバリアを残したそのままの状態で取引されます。室内の段差のない新築住宅もお気を付けください。玄関ドアの段差も無くなり玄関框の高低差が低くなっているのは、実はその高低差分を外部に持ち出しただけなのです。その為、玄関アプローチにはほとんど階段が設置されているはずです。現在の新築住宅の多くは室内だけ段差の無い「引きこもりバリアフリー状態」です。

 

 安楽さんのおっしゃる「住まいの介護力」を高めるには、住宅を供給する側の意識が変わる必要があります。現在の日本は超高齢化社会となり、もう既に後戻りは出来ません。そんな時代だからこそ問われる住宅デザイン。僭越ながら弊社IMPLE HOUSEは、「ついの住まい」となるよう設計されたリノベーション住宅であると自負しております。「中古住宅 西観音町 2,550万円」「中古住宅 大坪本町 3,200万円」には、あらゆる部分にバリアフリー思想が反映されていますので、ご興味のある方はぜひご覧頂きたいと思います。      R.01.10.10