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提案と要望

家の出発点は、利用者の要望だと思います。

こんな家に住みたい、住むならあんな家にしたいと家に対する人々の想いは様々です。

その様な想いを形にした家は、当然様々な形をしています。

そして家の形が出来る過程で、作り手の想いも込められます。

予算等の諸要因により両者ともに妥協する面もありますが、出来上がった家の形は提案と要望の成果です。

 

私は家を見る際、家を作る過程を想像します。

作り手と利用者の想いが込められた家は、何とも言えない居心地の良さが感じられます。

一方、利用者の想いを考えずに作られたであろう家もあります。

恐らく新築当時、利用者は気付かなかったはずです。

新しい家だから…。

しかし数十年経過すると状況は変わります。

時間の前では、如何なるシミュレーションも単なる仮定でしかない事を思い知らされます。

 

要望を前提としない提案は、はたして提案と言えるでしょうか。

身勝手な想いによりいびつな形となった家が人を幸せにする事は無いでしょう。

 

どんな新しい家も時間が経てば中古住宅となります。

また、リフォームやリノベーションで再生された家も然りです。

日々中古住宅に向き合う者として、利用者を想う提案者が増えることを願います。     H.30.06.09