ブログ

大事なことは憲法が教えてくれる 改憲に向けた国民投票法改正

 【「大事なことは憲法が教えてくれる 日本国憲法の底力」 著者:森英樹 発行:株式会社新日本出版社】

 

 大阪や兵庫では新型コロナウイルスに感染し入院治療を希望しても断られ、待たされている間に死亡するケースが発生しています。日本はこの1年何をしてきたのでしょうか。

 

 コロナ禍で死と隣り合わせの医療崩壊が現実となった日本では、一方で改憲に向けた国民投票法改正案が今国会で成立する見通しのようです。同じ国で同じ時期に起きている出来事とは思えません。

 

 本書の著者である森英樹さんは残念ながら昨年4月にお亡くなりになりましたが、その日本国憲法への思いは数々の著作からも学ぶ事が出来ます。この本では、日本国憲法の背景や真意をユーモアを交えながらわかりやすく説かれていて、幅広い世代の方にお勧めできます。

 

 一話完結の構成となる本書の中で、「批判があっても総選挙で自民党は圧勝しましたね  選挙制度と選挙報道を考える」という話があります。2014年12月14日の総選挙に関するお話です。

 

 その選挙結果を「自公圧勝」と軒並み新聞やテレビ報道が伝えていたのですが、実際は「小選挙区効果」や「比例していない比例区」によって、「自民党支持は有権者のたった十七%」にも関わらず議席が決まってしまったからくりを解き明かしています。

 

 【自民党は、衆議院解散前日の十一月二〇日に「選挙報道の公平中立」などを求める要望書を、各テレビ局に送りました。・・・ その「要望」の効果があった報道に感謝してか、総選挙で「圧勝」した直後の一六日に、首相は主要メディアの代表格の面々を高級寿司屋に招待して、酒食を振舞っていました。これが「圧勝」の正体です。】

 

 森さんは本書で、【「社会の公器」には好奇でなく高貴な責任感を】とメディアの役割についても説かれています。改憲に向けた「国民投票法改正」をひっそりと報道する多くのメディア。せめて酒食を振舞われる場で新型コロナウイルス感染を広げないことを切に願います。     R.03.05.05