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公開シンポジウム「現代社会とアディクション」を視聴して

 依存症について取り上げたのが昨年4月24日付け弊社ブログ記事「依存症とイネイブリング」。それから約1年、コロナ禍でこんな疲弊した世の中になるとは想像もしていませんでした。

 

 自粛疲れなどという言葉まで生まれる中、テレビではビールや缶酎ハイなどのCMが花盛りです。自主規制をすり抜け、自宅での飲酒を喚起する工夫を凝らす大量のCMに疑念を抱いていた時期に、日本学術会議の公開シンポジウム「現代社会とアディクション」が本日オンライン開催され、その模様をYouTubeで視聴しました。

 

 精神医療や脳科学などの分野において活躍される方々の考えに触れられるとても貴重な体験となりました。そして、物質依存と行動嗜癖の問題・アディクションが、想像以上に現代の日本社会に暗い影を落としている現実を、あらためて知りました。誰でも依存症になりうるのがコロナ禍なのです。

 

 毎日テレビで垂れ流される酒類のCMは、やはり考え物だと思います。アルコール依存症は本人の意思の弱さだという前時代的な認識で止まっているからでしょうか、世間は芸達者な芸能人たちが「うまい」を連発する酒類CMにとても寛容です。アルコール依存症によって引き起こされる悲劇は、世間の無関心が生んでいるのかもしれないのに…。

 

 だからアディクションという社会問題を専門家だけに押し付けてはいけないと思います。缶酎ハイ片手にスマホでこの記事を読んでいるあなたの背後に、実はアディクションの影が迫っているかもしれないのですから。      R.03.03.28