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「ニュージーランドに学ぼう」キャンペーン

 今年4月の弊社ブログ記事「Go To ニュージーランド キャンペーン」で、ニュージーランドのアーダーン首相について触れましたが、そのニュージーランドでは先月総選挙が行われました。結果は、アーダーン首相率いる中道左派の労働党が単独過半数を得る圧勝となりました。改選前は46議席だったものが65議席となる一方、最大野党である中道右派の国民党は56議席から33議席へと議席数を減らしました。

 

 ニュージーランドでは労働党も国民党も女性党首であったり、当選した女性議員が58人と全体の約48%を占めていたりと、女性が政治でも活躍する機会が当たり前にあるようです。そのような多様な価値観が反映されている状況でも圧勝するのですから、アーダーン首相の人気の高さが窺えます。

 

 アーダーン首相のコロナ対策は、早い段階でロックダウンという国民にとって厳しい措置を決断しながら、SNSを利用して直接国民へ正確な情報を語りかける積極的なコミュニケーションを心掛けるといった、一方通行ではない施策をぶれずに徹底したものでした。「最善の経済対策は強力な衛生対策である」という姿勢を貫き、新型コロナウイルス感染を封じ込め、それを評価した多くの国民の支持が今回の総選挙の結果につながったようです。

 

 

 対して現在の日本はどうでしょうか。ニュージーランドの状況がまるで別世界のように感じます。例えば「Go To キャンペーン」は、おそらく与党支持者内でも大きく評価が分かれるものだと思います。でなければ運用見直しとはならなかったはずです。

 

 先月の弊社ブログ記事「多数決を疑う 多数派の民意でも切り捨てられる現行制度」で、坂井豊貴さんの著書【「多数決を疑う 社会的選択理論とは何か」 発行:株式会社岩波書店】をご紹介しましたが、現在の政府の対応を見るにつけ、民意を理解しようと努力する政治家がはたして日本にいるのだろうかと不安になります。

 

 コロナ禍という正解が見えない状況だからこそ、科学的知見に基づいた素早い対策が政府には求められます。その施策実行の前提には、幅広い国民の支持が必要です。そして国民の支持を得るには、双方向のコミュニケーション、つまり対話が必要です。

 

 今年5月の弊社ブログ記事「オープンダイアローグとは何か 社会の分断を再生する為のヒント」で、森川すいめいさんと斎藤環さんの著書を紹介し、自分なりに分断社会への警鐘を鳴らしたつもりですが、現在は与野党間だけにとどまらず、与党支持者内にも分断が広がっているように感じます。ニュージーランドのアーダーン首相をお手本に、日本でも「開かれた対話」が実現し、一刻も早くコロナ禍が終息する事を願います。     R.02.11.27