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不況は住まいのかたちを変化させる

 新しい生活様式やニューノーマルなどの喧伝は、コロナ禍による世界的大恐慌時代へ突入しているという現状をオブラートに包んだ表現だと感じます。もう今までの生活が出来ないことを覚悟しなさいと言われているようです。

 

 先月末には「戦後最長の景気回復」が幻であったことが内閣府の景気動向指数研究会の分析で明らかになりました。昨年消費税増税の時期はすでに景気後退局面に入っていたようなのです。不景気の時期に増税すればさらに景気が悪くなるのは当然です。そこをコロナ禍が追い討ちをかけたわけです。

 

 地方では地価の下落傾向に歯止めがかからない状況でしたので、景気回復の実感はありませんでした。それどころか街中で外国人実習生を目にする機会が年々増えていたので、賃金水準の低下や失業率の増加を予感させられていました。そして今年6月、厚生労働省が発表した2019年の人口動態統計によれば、人口自然減が初の50万人を超えたそうです。人口減少のスピードが加速しているのです。政府は出生率を引き上げる目標を掲げていますが、この現状では到底実現できるものだとは考えられません。

 

 不景気では子どもを育てる余裕もなくなります。自分一人で生きていくことすらままならない貧困問題が確実に広がっています。そんな状況は、住まいのかたちに影響を及ぼしています。

 

 戦後復興期の「nDK」といった核家族化に対応した間取は、細かく仕切って個室を優先するかたちでした。好景気の時代は子どもが増えることが前提であり、子どもたちが自立しても孫を連れて帰ってくるものと考えられ、夫婦だけになるとは想定されていませんでした。一方、最近は平家建ての建物やリビングを広くしたワンルームのような間取が人気です。家族の人数が少ないことが前提の造りです。好景気では部屋数が増え、不景気では部屋数が減る。住まいのかたちは景気のバロメーターのようです。

 

 しかしこれからの大恐慌時代は、今までとは違う概念が住まいに取り入れられるのではないでしょうか。例えば、生計をひとつにする家族以外の人々の集まりが、生まれる可能性もあります。家賃負担だけではなく生活費全体を減らすためのシェアハウスは、セーフティネットとしての機能も果たすでしょう。この場合、世帯の概念を変える必要があります。また、2世帯住宅として建てられた家を別々の家族が購入したり、メゾネットタイプのアパートを分譲仕様にして販売したりするかもしれません。この場合は戸建住宅に区分所有権を取り入れ、住宅ローンが利用出来るようにしなければなりません。

 

 住まいは人権です。どんなに住まいのかたちが変化しようとも、人々の幸せを実現する住まいを提供することが不動産屋に求められていることだと思います。古い慣習や固定概念にとらわれず、柔軟な発想が出来る多様性を身につけたいと考えます。      R.02.08.22