ブログ

住まいに表出するジェンダー

 不動産会社やハウスメーカーの皆さん、「奥様の為にもキッチンは高品質なものにしませんか」、「奥様の負担を軽減できる間取りですよ」といった類いの営業トークはもうやめませんか。「家事は女の仕事だ」とか「誰の稼ぎで飯が食えていると思っているのか」と言っているのと同じですよ。

 

 とは言っても、年々ジェンダー・ギャップ指数が落ち込む我が国においては、社会制度の大革命でも起きない限り、女性の家事負担を男性に移すことは難しいのかもしれません。医学部入試の性差による調整問題、最近話題のお茶出し問題、育児における母乳神話や3歳児神話などあらゆる場面で女性への差別や偏見がまかり通るのが現代日本社会の現実なのですから。

 

 だからといって指をくわえて何もしなくても良いわけではありません。住まいのプロとしての誇りを持つ人間ならば、差別を助長するようなことは排除すべきだと考えます。住まいに表出する社会的文化性差を当たり前のものとしてスルーするのではなく、これって変じゃないかとまずは疑ってみることがスタートです。

 

 前出のブログ「防災に取り組む理由 エンパシーの時代」で、災害を他人事ではなく自分の事として考える必要性について書きましたが、社会的文化性差=ジェンダーも同様に考えなければならない問題です。相手に対する思いやりのつもりが、貶めることになっていませんか。もしあなたが上記のような営業トークに出会ったら、その人にこう伝えてあげてください。「あなた、それって女性をディスってますよ。」      R.02.02.24