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住宅の性能はどこまで高められるのか

 新築神話を構築する技術革新による住宅性能の向上。つまり新しければ新しいほど最新技術を取り入れることが出来るので、新築の方が良いという考え方は、広く浸透しているものではないでしょうか。例えばゼロエネルギー住宅。太陽光発電による自家発電機能とトリプルサッシ等の断熱性や気密性の向上の合わせ技で、住宅で消費するエネルギーを差し引きゼロにするという発想はエコで経済的で魅力的な最新技術を象徴するひとつの典型的な例だと思います。

 

 しかし科学技術の目覚ましい進歩により、毎年様々な技術革新が起こり、住宅の性能は常に向上しているわけではないことを、薄々感づいている方も多いと思います。そして化学の進歩は必ずしも住まいに必要なものばかりをもたらしているわけではないことも。アスベストやシックハウス症候群のような被害は科学の進歩が生み出した忘れてはいけない副作用です。科学技術はたしかに日々進歩しているのでしょう。しかし出来ることと必要なことは違います。

 

 住まいに科学技術のデモンストレーションの様なものは必要ありません。ましてや見せかけの年次改良は、消費者への裏切り行為といってもよいでしょう。中にはリコール隠しの様な悪質なものも散見されます。それら一つ一つを確かめることは我々不動産屋でも難しいことです。消費者庁ウェブサイトにある情報をチェックするなどの対応が求められます。誠実な対応をするメーカーばかりであれば、心配する必要はないのかもしれませんが。

 

 住まいに求められる性能、必要な性能は何なのか。そこに住む人の視点に立った提案をしていくための知識や見識を備えることが、これからの不動産屋には不可欠だと考えます。    R.01.12.26