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引き継がれる住まいとは 西観音町 IMPLE HOUSE

【ビフォーの不満点】

・LDKや廊下が暗い

・インフィル(設備)の老朽化

 

【アフターの改善点】

住宅は人の動きと光や風の流れも考慮しなければ生活しにくい家になってしまいます。伝統構法による立派な構造体を持つこの家を後世に残すためには、住みやすい家にしなければなりません。計画段階から紆余曲折を経て、「バリアフリー化」をキーワードに盛り込むこととし、やっとリノベーションプランの方向性が固まりました。

以前は長い廊下で部屋を区切る間取りだったので、当然廊下は暗くなります。そこで北側のトイレスペースを2帖分に広げたうえで、南側の玄関ホール部分からトイレまでの廊下を、収納スペースを少し取込み幅を1メートルと広げました。このことで光と風の流れが改善され、廊下の暗さの解消へとつながります。人の動きの想定としては、玄関、若しくは広縁を介護者の出入り口、そして広縁に面する7.3帖の明るい洋室を居室としています。その洋室とトイレを結ぶ廊下を広げて、さらに2帖分のトイレスペースは2枚引き戸とし車椅子のまま入れるようにしています。トイレ内は介助者が一緒に入っても狭さを感じることはないでしょう。ちなみに介護者の外出がしやすくなるように、駐車場を広縁横及び玄関アプローチまで広げて、玄関アプローチはスロープとしています。「バリアフリー化」のポイントとして更に玄関、トイレ、お風呂にそれぞれ手摺を設置、トイレだけではなくお風呂の扉も引き戸としています。またトイレは手摺追加に対応できるように壁に下地を入れています。

LDKについては、6帖和室を取り込み既存の天井を取り、天応高約3.7mの吹き抜け空間を造りました。平面図ではわかりにくいでしょうが、その際、高い位置にフィックス窓とジャロジー窓を設置してLDK全体に光と風がまわるようにしています。またキッチンコンロ側の壁の窓は、食器棚や冷蔵庫を置くことを想定して邪魔にならない高さに移動しました。空間体積が大きくなったLDKは断熱材の充填や複層ガラスサッシにより断熱性能を高めています。※複層ガラスサッシは家全体に採用。

 

設備更新の際、オール電化住宅としました。エコキュートは湯切れの心配が無い様に460ℓのフルオートタイプ。キッチン換気扇は掃除の手間がかからないタイプです。電気配線や給排水管も更新しました。電気配線の更新に合わせて、感震ブレーカー付き分電盤(高機能マーク有)を採用しています。感震ブレーカーとは、震度5の揺れを感知すると自動的(感知の3分後)に電源をストップし通電火災を防ぐ装置です。

 

住まいの「バリアフリー化」は、費用面や間取変更を含む適正プラン作成など大変なことが沢山あります。しかし施設に入らず愛着のある家で家族と一緒に過ごしたいという望みは多くの方が持たれているのではないでしょうか。

 

「バリアフリー化」を考えることは、引き継がれる住まいを考えること、そして家族のつながりを考えることの様に思います。