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プライスレス

先日東京に行ってきました。

山口銀行東京支店さんで手続きがありましたので、この機会にと思い初めて東京駅へ。

 

1914年の創建当時の姿が復元された丸の内駅舎を、2017年12月に完成した駅前広場と行幸通りから撮影。激動の時代を乗り越えてきた歴史的建造物としての威厳と風格を感じる造りです。

さて不動産屋的観点から眺めた場合、少し気になる点があります。それは駅舎と近隣ビルの高さの違いです。

 

調べてみると駅周辺は「特例容積率適用地区」となっています。これは端的に言うと駅舎上の空間を周辺の建物に譲る事が出来る仕組みです。建物を建てる際、容積率という規制があります。これにより、建物の高さが制限されるのですが、一定限度までは東京駅の未消化容積率を周辺建物へ分散させて割増容積率により高い建物を建設することが出来るのです。指定容積率が1300%のエリアは1.5倍以内かつ指定容積率に500%を加えた数値以内が限度となるので1800%まで容積率が割増出来る様です。

東京駅の場合はその未消化容積率分を「空中権」として500億円で売却して改修費用を捻出したそうです。権利保全の為に空中権を取得した周辺の土地所有者(若しくは使用収益権者)が東京駅敷地に地役権の設定をする事で完成する仕組みです。

 

「空中権」の価格もすごいですが、それが改修にかかる費用だったという点も驚きです。恐らく建替えであればもっと安くできたはずです。しかし建物を残す方法を選択した決断は素晴らしいと思います。単純に100年を超える風格は100年を経て生まれるものです。そして人々の記憶に残る姿は代替がきかない唯一無二のものです。過去と未来を繋ぐ現在、我々の選択により歴史が途絶えもし、続きもします。

 

「空中権」はお金では買えない「歴史権」を残したのかもしれません。