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住宅確保要配慮者とは 言葉の持つ重み

 住宅セーフティネット制度についてご存知の方も多いと思います。国土交通省のホームページによれば、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット登録住宅)の登録制度、登録住宅の改修や入居者への経済的な支援、住宅確保要配慮者に対する居住支援の3つから成り立つものとされています。

 

 その中に住宅確保要配慮者という言葉があります。同じく国土交通省のホームページによれば、住宅確保要配慮者は、改正法において、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯と定められています。つまり住む場所を確保するのに困難を伴う人々のことを示す言葉です。

 

 この言葉から感じるのは、それを許容する社会や住宅業界の慣行を正そうとする意識ではなく、あくまで国家による弱者への配慮という道徳的な響きです。換言すれば、社会制度そのものは正しく機能しているが、そこからこぼれ落ちる人々へのお情けをかけてあげようといったところでしょうか。

 

 仕事を失ったり、被災したり、歳を取ったり、病気やケガをしたり、子どもを産んだりしたら、住む場所に困る社会。それがこの言葉の裏にある意味です。社会制度そのものの問題だとされては困るのでしょうか?あくまで個人的な問題へとすり替えるための名称、それが住宅確保要配慮者という言葉なのです。

 

 現在の日本は、公営住宅は減少し続け、民間の賃貸住宅は家賃保証会社を利用しなければ借りられないシステムへ大きく変貌しました。憲法第25条で定める生存権と国の社会的使命の住宅問題が住宅市場にゆだねられる限り、住宅確保要配慮者という言葉でごまかそうとする社会制度の欠陥は解決されることはないでしょう。        R.05.09.24