ブログ

道路交通法の矛盾 自転車を煽るドライバー心理

 朝の通学路を車で移動中の出来事です。前方に自転車通学の中学生を確認したため徐行を始めました。ところが私のすぐ前にいた車両は徐行をせず、自転車のすぐ後ろをぴったり追従するのです。途中、徒歩で通学する中学生もいましたが、その車両は徐行もせず自転車を追い抜くまで自転車を追いかけるように走行し続けました。

 

 道路交通法では自転車は軽車両とされ、自動車と同じく交通ルールを守らなければなりません。しかし多くの人が勘違いしている点は、自転車は車両ではないという事です。

 

 (横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

 

 今日も自転車に乗っていた児童が自動車にはねられ亡くなる事故のニュースがありました。亡くなられた児童は保護されるべき歩行者等かつ未成年者です。運転免許とは車両を運転する者が、この様な悲惨な事故を起こさないためにあるのです。自転車に運転免許は必要ありませんし、普通自動車運転免許を取得できるのは18才以上と未成年者は法律で免許取得を制限されているのです。

 

 自転車に乗っていれば車と同じ交通ルールを守る必要があるとしながら、免許の欠格事由として年齢制限を規定する道路交通法。今年4月から民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられましたが、それまでは未成年者でも普通自動車免許を取得でき、行為能力を制限されながら成年同等の責任が課せられていました。

 

 道路交通法や民法などについて周知させるべき対象は自転車通学の未成年者ではなく、殺傷能力のある危険な自動車を運転する資格を持つドライバーではないでしょうか。

 

 道路交通法が制定されたのは今から62年前の昭和35年、西暦1960年のことです。時代にそぐわなくなった部分や未成熟な部分があるのは道路交通法に限らず法律全般に言えることです。そのような法律の側面も理解することは大切な事です。「法律だから」とか「ルールだから」と言って人を守ることを忘れてしまい、自転車に乗って犠牲になった未成年者を責めたり、冒頭の自転車の中学生を煽るドライバー心理が蔓延ってしまうのは本末転倒です。

 

 表面的な字面をなぞるだけで原理原則を主張する軽薄な風潮を嫌悪します。     R.04.04.20