「星とたんぽぽ
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。」
金子みすゞ童謡集 わたしと小鳥とすずと JULA出版局
理不尽な世の中に生きるみすゞの苦悩を感じる童謡です。見えないから無いとするのは表面的にしか物事を見ていないからだと優しく諭すみすゞのこころ。見上げる青空の底とは、権威主義的な世間一般の評価に対する皮肉のような気がします。正しいこころのあり方を説くみすゞは自分自身を鼓舞しているようにも感じます。
「みんなちがって、みんないい。」
ありのままの世界を見通した金子みすゞが生きた時代と比べて現代はどうでしょうか。ブラック校則、いじめ、論破、ハラスメント行為、ヘイトスピーチ、自己責任論…。自身の狭い視野に気付くことなくありのままの世界を拒絶する愚行の数々。正しいものの見方を金子みすゞは優しい童謡を通して教えてくれます。 R.04.02.05