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学校施設の維持管理 想定外とは言えない事故の多さ

 先月27日、宮城県の市立白石第一小学校で防球ネットの支柱が倒れて児童2名に直撃し一人は死亡、もう一人も重傷を負う事故がありました。この防球ネットは設置者が不明で点検対象とはなっていなかったそうです。白石市教育委員会の教育長は、事故後の記者会見で、遊具には目が届くが防球ネットは遊ぶ目的ではないことに落とし穴があったと述べています。

 

 文部科学省からは学校施設の維持管理に関する通知書や手引きが出されています。昨年5月には、「学校施設の維持管理の徹底に向けて―子供たちを守るために―」というパンフレットも作成されています。

 

 そのパンフレットには、外壁等の落下事故の事例が掲載されています。重さ約800㎏のコンクリート製の庇落下事故を含む7つの事例ですが、それらは平成31年と令和元年のもの、つまりたった2年間だけのものなのです。2年間でこれだけの重大事故が発生していたという事実に驚愕します。

 

 学校施設は設置者が維持管理をするものと関係法令により定められており、市立白石第一小学校については、白石市教育委員会がそれに該当します。しかし記者会見で教育長は防球ネットについて、設置者が不明である事、ブランコやすべり台のような遊具ではない事を主張されています。何をおっしゃりたいのでしょうか。

 

 遊具ではない防球ネットによりかかった子供が悪いというのでしょうか。危険なものであるならば、子供たちを近づけないようにしなければいけなかったはずです。ましてや設置者が不明という施設が存在する時点で、杜撰な維持管理状態を露呈しています。

 

 今回の事故では児童が犠牲となりましたが、もしかすると教職員や保護者だけでなく地域住民が犠牲者となっていた可能性も否定できません。下関市の小学校でも、休み時間に子供たちが走り回るなか外時計のポールが倒れてきたという事故があったそうです。

 

 被害者が出なければ何もしない。教育委員会の怠慢の結果が、今回の市立白石第一小学校の事故を招いたのではないかと思うと、子供たちが可哀想でなりません。      R.03.05.03