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子どもの安心安全を守る学校給食

 下関市のホームページに「下関市学校給食調理等業務委託事業に係るプロポーザルの実施について【2021年2月5日登録】」というお知らせがあります。「市民の方へ」のページでは表示されないので知らない方も多いと思います。下関市ホームページのトップ画面上部にある「各課のご案内」から「教育委員会」へ行き「学校保健給食課」の「表示」ボタンをクリックすると出てきます。

 

 「下関市学校給食調理等業務委託事業」という事業があり、現在下関市彦島江の浦町にある給食センターを下関市一の宮住吉のある卸売市場内へ建替えることになっているようです。そこで全国的にも珍しい「民設民営方式」による学校給食の提供を下関市は実施しようとしています。

 

 いままで彦島江の浦町の給食センターでまかなっていた10校から更に13校追加した23校分、7,656食分の小中学校の給食を提供する大きな事業で、実施要領によると「民間事業者が持つノウハウ等を最大限活用し、高度な衛生管理や安全な給食の提供を行うため、民設民営方式による給食調理施設の整備及び運営が可能な事業者を選定することを目的とする」とのことです。児童生徒の保護者や住民への具体的な説明はないまま、事業スケジュールによると今年9月に契約締結、令和6年4月事業開始となっています。

 

 この事業は、学校給食を提供するための学校給食共同調理場を整備し、安心安全な学校給食の提供と、効率的な運営の実現を目的とするものとあります。しかしその安心安全が無視された事例が、昨年6月埼玉県八潮市で発生しています。民間業者に委託していた学校給食で3,000人を超す児童生徒が食中毒を発症したのです。安心安全よりも効率化を求められる民間事業者による大規模なセンター方式の一番の弊害実例です。

 

 4か月も給食停止を余儀なくされた八潮市では、八潮市学校給食審議会において、民間への全面委託方式から公設公営若しくは公設民営(調理のみ委託)による方式へ移行することが答申されました。この答申では、全面委託方式を続けている限り、八潮市に栄養教諭および学校栄養職員は配置されない、学校給食の衛生管理と食育を推進していくためには栄養教諭および学校栄養職員の存在が不可欠であると根拠立てています。

 

 学校給食はアレルギー対応も含め安心安全であることが大前提ですが、近年子どものセーフティネットとしての役割も注目されており、給食費の無償化も早急に取り組むべき課題です。文部科学省の行った「学校給食費の無償化等の実施状況」の調査結果によると、平成29年度に小・中学校とも無償化を実施している自治体の数は76、全体の4.4%だそうです。そのような状況でも下関市と同じ中核市である明石市が、昨年4月より中学校の給食費の無償化を実施しました。消費税増税に伴う幼児教育・保育の無償化によって浮いた財源を活用して実現したそうです。

 

 コロナ禍で疲弊した現代社会において、子どもの未来は最優先で守らなくてはいけません。八潮市や明石市の動向も踏まえた学校給食事業の見直しを望みます。      R.03.02.17