新しい立憲民主党が発足し、次の衆院解散総選挙で政権奪還を目指しています。しかし、誕生したばかりの菅内閣は高い支持率を集めています。現状ではとても勝ち目など無いように感じます。なぜ野党は政権交代を実現できないのでしょうか。
近年、子どもの貧困や非正規雇用など日本においても貧富の格差・不平等が社会問題として大きな関心を集めていますが、消費税のように社会的弱者を傷めつける逆進性の高い税制が支持され、「Go To トラベルキャンペーン」のように贅沢をする余裕がある富裕層が得をする政策が歓迎される世の中であることも事実です。つまりこのコロナ禍においても、社会的弱者よりも中流階級以上の余裕がある人々の方が有権者の過半数を占めているのが日本の現状のようなのです。
いくら税制の再分配機能の欠陥や違法な時間外労働が横行する労働環境など社会的正義を訴え政権批判をしたとしても、現政権の恩恵を受ける与党支持者の反感を買うばかりです。つまり野党は、与党支持者である大多数の国民の声を聴こうとしなければ、いつまでたっても政権交代を実現できない少数派のままなのです。
しかし与党支持者の中にも、社会問題を憂い、現状に満足しない人々も多くいるはずです。当然、汚職や不正まで許すことはないでしょう。現在テレビドラマの「半沢直樹」が視聴者の高い支持を集めています。バンカーとしてあるべき姿を貫く主人公が実現する勧善懲悪の世界観がうけているのは、間違いなく現実世界へ鬱憤を抱く人々が多いからだと思います。
批判一辺倒で与野党の対立を煽るのでは、支持者の分断を広げてしまうだけではないでしょうか。ドラマ「半沢直樹」の中では、主人公の信念に共感しつながってゆく人間模様が描かれています。信念を貫く覚悟と私利私欲なく多くの人々の声に耳を傾ける謙虚な姿勢は、現実の世界でも大多数の人々が政治家に望むものだと思います。 R.02.09.21