ブログ

候補者ジェレミー・コービン 「反貧困」から首相への道

 【候補者ジェレミー・コービン「反貧困」から首相への道 著者:アレックス・ナンズ 発行:株式会社岩波書店】

 

 今月12日にイギリス総選挙が実施されます。本書では、労働党党首ジェレミー・コービンが2015年9月に党首となるまでのムーブメントから、その後2017年9月の前回総選挙で保守党を過半数割れにまで追い込んだ選挙戦までを描いています。その中で、緊縮財政に苦しむ人々と既得権益層との階級闘争、あからさまな誹謗中傷や嘘でコービンへの憎悪を示す政敵やそれに加担する英国メディアの機能不全など、日頃の表面的なニュースでは知り得ないイギリスの現実が描かれています。

 

 そのような末期的とも言える世界でジェレミー・コービンは特異な存在です。「反核」、「反戦」、「反緊縮財政」といった極めてまっとうな主張をぶれずに続けて行く彼の存在が、様々な政敵やメディアの抵抗にも屈せず、やがてイギリス国内でムーブメントを巻き起こす様子は爽快なものです。

 

 日本でも既得権益層に取り込まれたメディアが真実を伝えない状況が存在します。福島第一原発事故における偏向報道や原子力発電所の安全神話などはその一例です。ジェレミー・コービンの存在自体もじつは隠しておきたい真実なのかもしれません。彼のような政治家の出現を恐れている人達がこの日本にもいるのではないでしょうか。

 

 幸運にもブレイディみかこさんの著書でジェレミー・コービンの存在を知ることが出来ました。コービンは女性有権者の支持率も高いそうです。緊縮財政によるあおりを受けるのは、日本でも弱い立場におかれた人々です。今、イギリスで起きているムーブメントは決して他人事ではありません。今回のイギリス総選挙は、世界の流れを変えるきっかけになるかもしれません。

 

 本書はコービンの言葉で締めくくられています。「物事は変わりうる、そして、変わっていくだろう」    R.01.12.08