下関市にも各種ハザードマップが整備されていますが、新たに今年7月「大規模造成地マップ」が公表されました。国が進める宅地耐震化推進事業の一環として、身近にある大規模造成地の存在を知らせるものです。今後、このマップをもとに地滑りなどの危険性があれば崩落防止の工事を勧めようとするものです。
弊社では不動産の売却依頼や購入物件に関する相談を受ける際、必ずその場所の各種ハザードマップを調べ、その内容を依頼者に伝えます。ハザードマップは見たほうが良いものではなく、見ておかなければならないものです。災害時に正常性バイアスが働き的確な避難行動をとれない可能性が指摘されますが、ハザードマップを見ないこと自体も正常性バイアスによるものだと思います。
最近読んだ書籍【「憲法改正」の真実 著者:樋口陽一・小林節 発行:株式会社集英社】の中で、樋口さんが「知る義務」について述べておられます。秘密保護法や憲法改正問題に関する文脈において使われた言葉なのですが、防災に対する地域間の温度差にも「知る義務」はつながっているように思います。ハザードマップは本来知るべきことなのに「知る義務」を怠ってはいないでしょうか。
先日の大川小訴訟についての最高裁判決により、「事前防災」の充実が広く促されていくと思います。想定される災害について「知る義務」を果たしていくことが、一人でも多くの命を守ることになると信じます。 R.01.10.14