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中間集団全体主義 いじめの構造

【「いじめの構造 なぜ人が怪物になるのか」 著者:内藤朝雄 発行:株式会社講談社】

 

 いじめ問題を当事者意識を持って考えている方や、いじめ問題を取り上げるテレビ番組で散見される薄っぺらなコメントの数々に辟易している方々に是非お勧めしたい本です。

 

 まず本書の「はじめに」に記された言葉を引用したいと思います。

 

【いじめは、学校の生徒たちだけの問題ではない。昔から今まで、ありとあらゆる社会で、人類は、このはらわたがねじれるような現象に苦しんできた。本書では、人間が人間にとっての怪物になる心理-社会的メカニズムである、普遍的な現象としてのいじめに取り組む。】

 

 

 普遍的な現象としてのいじめは学校だけでなく、家庭や地域コミュニティ(昔を思い出させる回覧板が嫌いという方の事例を挙げています)、職場など様々な集団でみられます。ローカルな秩序が支配するその閉鎖的(逃れたくても逃れられない)な集団では「場のノリ」が命よりも重んじられてしまうのです。本書ではフィジカルな暴力や様々なハラスメント行為が生まれる治外法権的社会を「中間集団全体主義社会」と定義し、「モデル現象」としての学校のいじめの発生メカニズムや学校システムの瑕疵を明らかにしています。

 

 人間が人間にとって怪物になるメカニズムを記した本書が発行されて10年。中間集団全体主義が蔓延する現代社会の変革への道のりはとても険しいようです。     R.01.08.25