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少子化と住宅事情

 少子化傾向を象徴する数値として人口動態統計の合計特殊出生率という指標がありますが、この出生率という言葉に違和感を覚えます。子供を産まない女性を問題視する発言がたびたびニュースになりますが、少子化は女性の問題ではありません。少子化は社会問題です。出生率という言葉によって社会問題である少子化を女性の問題としてすり替えられているように感じます。

 

 時代とともに家族の形態が変化する中で、求められる住宅の形態も変化しています。民家の間取は、大家族から核家族、そして単身世帯向けへと変化しています。その変化は居住面積に表れます。都会のワンルームと田舎の古民家をイメージするとわかりやすいと思います。狭い住宅が増えているのです。賃貸でも売買でも広さは金額に反映されます。つまり少しでも安い金額で住まいを確保しなければならない状況に置かれている人が増えているのです。

 

 単身者がパートナーと出合い、子供を授かるとワンルームでは狭すぎます。しかし広い部屋を探そうとすると家賃の壁にぶつかります。家族が増えれば自動的に収入が増えるわけではありませんし、むしろ出費がかさみます。しかも単身者向けワンルームの場合、同居人を認めない契約があるので、そもそもパートナーと一緒に暮らすことも出来ません。公営住宅を探しても入居するには高い倍率の抽選をくぐりぬけなければなりません。現代の住宅事情が少子化に少なからず影響していると思われます。

 

 少子化対策の為に出生率という指標は必要なのでしょうか。市場経済に迎合した住宅政策のツケを女性に押し付けてしまっているように感じます。     R.01.08.15