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哲学のすすめ こどもの権利

 最近本屋さんでこども向けの本の棚を見て愕然としました。こどもに自分で考えて答えをみつける習慣をもってもらうために何か良い本はないか探していたところ、道徳的な倫理本は数多くあるのに、哲学の本がほんの2,3冊しかないのです。

 

 本屋さんは図書館と違い、基本的に売れる本が中心の品揃えとなります。つまり、本屋さんの棚は現在の人々が欲しい情報や流行が反映されるものだと考えます。儒教などの考え方に基づく倫理観が反映された教えを学ぶことを否定しません。私自身もその様な倫理観を学んできました。しかし同時に哲学も学びました。私が見た本棚の状況は、親がこどものためにと選ぶ本のほとんどが「しつけ」を目的にしている「正しいことの答え合わせ」のような本ばかりだったのです。

 

 「基本が身について、はじめて応用ができる」という考え方はスポーツの世界などでは当たり前の様に浸透しています。人にとって基本となるものは考えることだと思います。考えることは哲学です。倫理観などはその先の応用です。本屋さんの棚で見た光景は、一足飛びに応用を習得させること、つまり「こどもを型にはめること」を望む社会の風潮を表している様で愕然としたのです。

 

 先月の朝日新聞連載「折々のことば」に、「自分の権利を擁護することは、自分の利益を擁護することだろうか?」、「自分自身の文化から自由になれるだろうか?」というフランスの大学入試バカロレアの試験問題が紹介されていました。日本の大学入試も記述式問題が導入されるようです。近い将来、本屋さんのこども向けの本棚に哲学の本が増えることを期待したいと思います。     H.31.04.13