先日、テレビ東京の【ガイアの夜明け シリーズ「外食王」第5弾”超”進化!ラーメン新世紀】という番組を視聴しました。その中で、ラーメン業界に存在する「1000円の壁」を越えようと挑戦する方の存在を知りました。私も「ラーメンは安い庶民の食べ物」というイメージを持っています。例えば「1000円のラーメン」と聞いただけで、それなら他の定食などの食事がいいなと思ってしまいます。
中古住宅も似た状況におかれています。「中古住宅は安く手に入れるもの」というイメージはお客様だけでなく、業界の人々にも沁みついている為、「同じ価格なら新築の方が良い」、「40年経てば土地代だけ」、「その年代の建物は低品質なものが多い」などといった根拠の曖昧な意見がまかり通っています。浸透してしまったイメージにより、中古住宅もラーメンと同じくB級のレッテルが貼られている様です。
書籍「新築がお好きですか? 日本における住宅と政治」 砂原庸介著 ㈱ミネルヴァ書房発行の中で、次のような表現があります。
「価格に見合わないものが市場に混じっていて、しかもその質を判断するために高い取引費用がかかるとすれば、買い手は購入を控えるようになる。質の悪い住宅のせいで平均的な価格が低くなってくると、売り手側から見ても良質な住宅が妥当な価格で売れなくなり、結局中古住宅の市場が成り立ちにくくなるのである(山崎 二〇一四)。」
ラーメンにせよ中古住宅にせよ、質の良いものもあれば悪いものもあり、その中で適正価格が存在します。そしてその価格が適正であるとのエビデンスを発信・受信することがとても大切だと考えます。中古住宅市場においても、今年から「建物状況調査(インスペクション)」、「安心R住宅」といった制度がスタートし、中古住宅購入時の判断材料となる情報の重要性が認識されてきています。また、長寿命化リフォームの推進などにより、中古住宅の質の向上も顕著になってきました。中古住宅の質を評価するツールや環境が整備されつつあるのが、中古住宅市場の現状です。
世の中の固定概念を覆すことはとても難しい事ですが、誰かひとりの固定観念を変えることは可能だと思います。概念化された価格の壁を乗り越える為の努力をこれからも続けていきます。 H.30.12.12