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建築のスタート地点 リノベーションのポテンシャル

 ぜひご紹介したい本があります。

 

【時がつくる建築~リノベーションの西洋建築史】 

加藤 耕一著 東京大学出版会発行  

昨年のサントリー学芸賞(芸術・文学部門)、及び今年の日本建築学会賞(論文部門)受賞作品

 

 ゴシック建築の研究者である著者が、現代日本人の建築観、「古くなったものを捨て新しいものを求める20世紀の日本に特有の異常な価値観」に対する挑戦を試みた、建築に対する深い愛情と熱い思いを感じる作品です。

 

 本作品は、西洋建築史における数々の既存建物の再利用の事例から、建築の再利用≒リノベーションが持つ本質的な建築行為としての意味を浮き彫りにしています。【「敷地」が建築のスタート地点なのではない。「既存建物」が新しい建築のスタート地点なのである。】という著者の言葉は、「20世紀的建築観」からの脱却とリノベーションの可能性を高らかに宣言した名言です。     H.30.12.05