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建築基準法 第1条

【目的】

第1条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 

 建築基準法の目的は、住宅を含む建築物が公共の福祉に役立つ様にすることだと昭和25年の制定時から第1条に謳われています。しかし、公共の福祉の増進に資するという本来の目的を無視した最低限の基準としてしか建築基準法を見ていないのが、日本の住宅事情の現状のように見えます。

 

 例えば公共の福祉の増進に関連するバリアフリー法は個人の住宅には適用されません。バリアフリー法の正式名称は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」です。公共の施設内での移動を対象としているから住宅は関係ないと思われるかもしれませんが、そもそもバリアだらけの家から外出する事が困難な状況ではバリアフリー化された施設を利用出来ません。最近の住宅は玄関框の段差も低くなっていて、昔の家に比べたら進歩したように感じます。しかし一歩外に出ると、玄関ポーチの階段がバリアとして存在します。家の中にあった段差を外に出しただけなのです。勝手口のある家も同じ仕組みです。実際に車椅子を利用するご家族がいない場合、住宅にスロープを設けるケースはほとんどありません。室内の段差解消という最低限の取組みだけでお茶を濁しているのが、現在の住宅業界です。

 

 ZEH、長期優良住宅など技術の進歩により住宅性能の向上が叫ばれる中、住宅のバリアフリー化はますます遅れを取っている様に感じるのは私だけでしょうか。    H.30.08.22