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理想の住まいとは

 ぜひご紹介したい本があります。

【居住福祉社会へ 「老い」から住まいを考える】  

 早川和男著  岩波書店発行

 

 住まいに携わる仕事を生業としている者として、常々住まいの理想像を模索しています。不動産買取再販事業「IMPLE HOUSE」おいて、良質なストック材である中古住宅を後世に残していく為に、そこに住む方々の豊かな暮らしを実現する私なりの再生プランをかたちにしています。

 そんな中、最近関心を抱いているのが認知症についてです。認知症患者のおよそ半数がアルツハイマー病を原因としていると考えられ、そのアルツハイマー病の最大のリスク要因が「年齢」である、つまり誰でも長生きをすればアルツハイマー病を発症する確率が高まるのです。永く住むための住まいには、認知症対策も講じなくてはならないと考えるようになりました。

 認知症対策のヒントを探していく中で、この本と出合いました。著者の神戸大学名誉教授 早川和男さんの人間に対する愛情の深さと、住まいに対する幅広い見識の一部に触れることの出来るこの本との出会いは、私にとって人生のターニングポイントとなる出来事だと感じました。実は、最近何の為にこの仕事をしているのだろうと考えた結果、自分は人助けをしたいのだという思いに至ったところで、そのタイミングでこの本に巡り合うことが出来たのです。

 この本では、早川さんの住まいに対する理想を、私など足元にも及ばない遥かに高い次元で具体的に提言されています。また現在の日本の住環境が、どれほど人間の尊厳を無視した状況にあるかを丁寧に語られています。

 目標とすべき方に出会えたと思い、早川さんについてお調べしたところ、残念ながら平成30年7月25日にお亡くなりになられたそうです。謹んで哀悼の意を表します。    H.30.08.06