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家事ラク動線

【ビフォーの不満点】

・収納が少ない、使いにくい

・急勾配な階段、暗い玄関ホール

 

【アフターの改善点】

収納は必要な場所に必要な量を配置することが使い勝手と部屋の整頓につながります。最近の間取でよくある広い納戸は、結局片付けにかかる労力から「しまいっ放し、出しっ放し」の状態になりやすいのです。この家は広さに余裕があるので収納の適材適所を実現出来ました。

そして適材適所という点で、洗面室と隣接する納戸に着目しました。一般的に洗面室は、脱衣所、洗面所、洗濯場、収納といった多機能性を求められるのにたった2帖分のスペースしか与えられていません。そこでこの家は納戸を取り込むことで2倍のスペースを確保し、機能性に応じた空間配置を設計。浴室に隣接する区画を洗濯機パンとスロップシンクを設置したランドリールームとしました。脱衣所を兼ねるので脱いだ下着などをそのまま洗濯機へ、手洗いが必要なものをスロップシンクで洗いそのまま洗濯機へといった場面を想定しています。ドレッシングルームは洗面所をメインの役割とし、お風呂に入る人がいても気兼ねなく使用できる様にランドリールームと片引き戸で間仕切り。そして外部の洗濯物干し場へとつながるので、取り込んだ洗濯物を一時的に置けるカウンターも造作。しかもトイレを併設したり、エアコン用電源を設置したり使い勝手を追求した家事ラク動線の要としました。

 

階段はその役割(上下階の昇降装置、換気、採光、デザイン等)を理解しなければなりません。住宅の間取を考える際に邪魔者扱いされる階段ですが、役割を理解した設計の階段は家をランクアップしてくれます。まず昇降装置として見る場合重要なのは安全性です。その為に緩やかな勾配と手摺の設置が必要となります。勾配は階段ホールを広くとればより緩やかに出来ますが、住宅の場合は限りあるスペースの中で工夫が必要です。1.5帖分のスペースが一般的ですが、この家は玄関ホールを取り込み2帖分のスペースを確保しました。次に換気について。最近は建物に気密性を求められ、夏場に自然の風を通すことが出来ない場合が多くなっています。この家の場合階段が北側、南に樹木が並ぶ水辺に面した庭につながるリビングがあります。暖かい空気は低いところから高いところへ移動します。夏場にリビングの窓と階段上部の窓を開けることで自然の風が通る道が出来るよう設計としました。逆に採光は上から下に通しますが、この階段が光の通り道となり、暗かった玄関ホールに光を届けます。デザイン面でも踏み板を1枚物の無垢材を現場で一つ一つ現場で仕上げて和モダンな雰囲気を引き立てる贅沢な階段としています。