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男女格差を放置する最高裁 選択的夫婦別姓を考える

 最高裁大法廷にて夫婦別姓を認めない民法の規定は合憲であるとの判断が示されました。2015年の判決後、社会情勢や国民の意識は大きく変化しています。今回は違憲の判断を期待していたのですが、残念ながら最高裁はこの制度の是非を国会の仕事だとして現状維持を選択しました。

 

 「女性が輝く日本」と題して女性の社会進出を成長戦略の柱とした日本政府。しかし、外務省が国連女性差別撤廃委員会から受け取った、日本の女性政策に関しての見解文書を2年以上放置した問題が今年3月に発覚、問題となりました。文書は女性が旧姓を維持できるよう法改正を勧告していたそうです。

 

 結婚後も仕事を続けたい人に名前を変えることを強要する民法は、一方では土地の時効取得を認めています。長期間続いた土地の占有状態が事実としてある場合、それを覆すことは社会を混乱させることになると考えるからです。

 

 例えば、女性の総理大臣が国会議員と結婚する場合はどうすればよいのでしょうか。「通称使用」などでお茶を濁す問題ではありません。現行の民法では社会の混乱などお構いなしに、どちらかが名前を変えなくてはなりません。民法のダブルスタンダードではないでしょうか。

 

 選択的夫婦別姓は、女性の社会進出が進めば進むほど、社会にとっても必要となる制度です。政府は「女性が輝く日本」などと言いながら、実は女性は家庭にとどまるべきと考えているのではないでしょうか。個人の自由を侵害する民法の規定は違憲です。ぜひ国会で民法改正に取り組むべきです。

 

 現代は様々な価値観が尊重される多様性の時代です。しかし、夫婦同姓を選択できる自由が日本にはありません。憲法の理念に沿った司法の判断が示されなかったのは、政治に忖度したからなのではないかと勘ぐってしまいます。夫婦同姓を強要することで、女性の名前を維持する権利を奪う民法。裁判官の男女比率がそのまま判決に反映されたようにも感じます。      R.03.06.23