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バイデン大統領の決意 施政方針演説の衝撃

 昨年12月14日付け弊社ブログ記事「よりよき世界を求めて 知識の源泉と民主主義」において、哲学者カール・R・ポパーの「民主主義は、悪い、無能な、あるいは独裁的な支配者を、流血なしに罷免することを可能にする」という言葉をご紹介しましたが、本日行われたアメリカのバイデン大統領による施政方針演説を聞くと、アメリカは民主主義の国だという事をあらためて強く感じました。

 

 就任直後からトランプ前政権の方針から180度転換する政策を矢継ぎ早に打ち出してきたバイデン大統領ですが、就任後100日を前に民主主義を守り抜く強い決意を示した演説だったと思います。上院議長を兼務するハリス副大統領とペロシ下院議長、そしてその前に立つバイデン大統領の3人の姿は、今後歴史的な場面として語り継がれることでしょう。

 

 この演説では多方面における重要な方針が語られましたが、個人的に一番印象に残る言葉が「Trickle-down economics has never worked」でした。

 

 トリクルダウン仮説については、弊社ブログ記事「満足の文化 満ち足りた人々の憂鬱」「不快な表現:お金を落とす トリクルダウン仮説の残滓」「トリクルダウンと抑圧移譲の原則」などにて批判を続けてきたのですが、バイデン大統領がこの施政方針演説ではっきりとトリクルダウン仮説を否定しました。この意味はとても大きいと思います。

 

 経済活動における倫理観を取り去るトリクルダウン仮説は、まさに人々の醜い欲望の象徴でした。残念ながらこの周回遅れの仮説にしがみつく人々が、現在の日本でも跋扈しています。しかし民主主義を取り戻したアメリカの動向は、これからの日本にも良い影響を及ぼすはずです。多様性に富むバイデン政権に期待したいと思います。      R.03.04.29