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住宅火災に備える グルニエやロフトの功罪

 小屋裏空間を有効活用するグルニエや狭いアパートの床面積対策のロフトなどがなくならないところを見ると、どうやら自分の家が火事になると思っている人はあまりいないようです。階段でさえ転落の危険性があるのに、はしごで昇り降りする場所はより危険なことはわかりきっているはずです。火事のような緊急事態に遭遇して、冷静に対処できる自信がある方ばかりなのでしょうか。

 

 令和元年度版消防白書によると、平成30年中の建物火災で亡くなられた方の37.6%が一酸化炭素中毒・窒息だったようです。死亡に至った経過をみると、全体の約半数が逃げ遅れてしまい、そのうち避難行動をとりながら逃げ切れなかった方が全体の17.3%を占めています。

 

 火事の際、怖いのが煙です。火事で発生する煙には一酸化炭素などの有毒ガスの成分が含まれています。一酸化炭素はたばこの煙にも含まれているのですが、非常に毒性が強く0.32%の濃度でも30分で死に至ります。火災の煙は高温で熱せられているので、はじめは天井付近に集まります。店舗などに排煙窓の設置が義務付けられていたり、住宅でも台所付近の天井に垂れ壁がついていたりするのは、火災の際に煙を排出したり広がりを遅らせたりして、非難する時間を確保するためです。

 

 火災時の煙が集まる天井付近にあり、昇降に危険が伴うはしごで行き来するのがグルニエやロフトです。お部屋の紹介時に不動産屋さんからそんな説明を受けることはほとんどないのではないでしょうか。あるとしてもエアコンの効きが悪いですよとか、天井に頭をぶつけないようにとかくらいかと思います。

 

 令和元年度版消防白書によると、平成30年中の住宅火災の死者数946人のうち、35歳以下の死者数は53人です。一般的にグルニエやロフトを使用する方は若い方が多いと思いますので、この数字が少ないと考えるなら、法律で禁止されているわけではないグルニエやロフトを選択する事は個人の自由です。ただ火災時のリスクは知っておいて欲しいと思います。      R.02.04.19