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免疫系の役割を理解する 住まいと食生活

 ヒトには病原体を排除する免疫システムが備わっています。その様々なシステムの集合機構が免疫系と呼ばれます。免疫系の仕組みは、病原体の発見と初期攻撃を行う自然免疫と、自然免疫からの情報をもとに病原体を排除する抗体や感染した細胞を排除するキラーT細胞が作られる獲得免疫の2段階からなります。

 

 この免疫系の一連の仕組みを利用したのがワクチン、予防接種です。ワクチンとは生ワクチンと不活性化ワクチンとに分類されますが、いずれも病原体を攻撃する抗体を作るための薬剤です。そのワクチンをヒトに投与する医療行為を予防接種と言います。人体に抗体が作られれば、病気を予防することが出来ます。

 

 この免疫系の働きは健康状態を維持することで保たれるようですが、ストレスや睡眠・栄養不足などの要因によって働きが悪くなります。つまり日常生活においてストレスを軽減したり、規則正しい生活を心掛けることが病気の予防につながるという事です。

 

 体の免疫システムの70%近くは腸管に存在することから、腸内環境を整える乳酸菌飲料やヨーグルトの摂取が、免疫系の働きに影響を与える可能性は高いと思われます。ちなみに乳酸菌は味噌にも含まれているようです。その効用についてはまだまだ科学的根拠が揃っていないようですが、1300年前以上から続く味噌の食文化は、日本人の健康維持に大きな影響を与え続けてきたことは間違いないようです。

 

 腸内環境を整えても睡眠不足やストレスによって免疫系の働きは悪くなります。住まい環境を見直すことで、睡眠不足やストレスの解消につながる可能性があります。例えば、部屋の壁紙や照明が睡眠に及ぼす影響は大きなものです。

 

 色が人間の心理や生理に影響を与えることは良く知られています。色相と筋肉の緊張度の関係を客観的に示したライト・トーナス値というものがあります。青色は筋肉を弛緩させ、赤色は筋肉を緊張させることから、寝室はブルー系のカラーコーディネートをすると良いと言われます。

 

 照明には照度や色温度の違いがあります。生体リズム調整に重要な役割を果たすメラトニンというホルモンは、高照度の白色光下では分泌が抑制される一方、低照度の暖色光下では分泌が促進されます。睡眠作用があるメラトニンの分泌を促進するためには、就寝前に明る過ぎない暖色光の照明を使用するのが良いでしょう。

 

 ただ寝るためだけの住まい、ただ空腹を満たすためだけの食事ではありません。こんな時だからこそ、人間の健康に直結する住まいと食生活について、あらためて見つめ直してみては如何でしょうか。     R.02.04.12