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蛮行を隠す言葉に抵抗する革命

 2月25日付け朝日新聞朝刊の「折々のことば」に、レベッカ・ソルニットさんの言葉が紹介されていました。

 

 【蛮行に抵抗する革命は、蛮行を隠す言葉に抵抗する革命から始まる】

 

 鷲田清一さんがレベッカ・ソルニットさんの言葉を用いて訴えたかったことに強く共感します。以下、レベッカ・ソルニットさんの著書「説教したがる男たち 訳者:ハーン小路恭子 発行:株式会社左右社」の一文を引用したいと思います。

 

 【言葉は力だ。「拷問」を「過酷尋問」と、殺された子どもたちを「付帯的損害」と言い換えるとき、意味を伝え、見たり、感じたり、思いやったりさせる言葉の力は破壊されてしまう。だが逆のこともある。意味を埋め込んだり掘り起こしたりするために、言葉の力を使うことだってできるのだ。】

 

 最近の報道で目にする言葉の破壊行為に対し、強い憤りを感じていました。しかし同時に言葉の持つ意味と背景について、深く考えるきっかけが与えられたようにも感じます。以下、同じく「説教したがる男たち」より引用します。

 

 【なんでもない会話のその先には、男性にのみ開かれた空間が広がっている。言葉を発し、話を聞いてもらい、権利を持ち、社会に参加し、尊敬を受け、完全で自由な人間として生きられるような空間。そこには女性は入れない。かしこまった言葉で言えば、これが権力が行使される一形態だ。同じ権力が、罵倒することによって、物理的な脅迫や暴力によって、また往々にして世界の構造そのものによって、女性を沈黙させ、存在を消し去り、無力にする。そのとき女たちは、平等でもなく、社会参加もできず、権利を備えた人間でもなければ、生きた存在ですらない。】

 

 以前は無意識に行われていた男女間の差別が、フェミニズム・セクシュアルハラスメント・多様性・ジェンダーといった言葉の誕生によって顕在化されました。しかし蛮行を隠す言葉は存在し、権力は行使され続けています。また虐待問題も、しつけ・教育といった蛮行を隠す言葉を放置してしまった結果、数々の凄惨な悲劇を引き起こしています。

 

 こんな様々なかたちの権力による蛮行がまかり通る生きづらい世の中ですが、その蛮行を隠す言葉の存在に気づき抵抗することから、蛮行そのものに抵抗する革命を起こせると信じたいと思います。      R.02.02.27