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子どもの人権をまもるために 一人の人間としての主体性

 10月25日、山口県では県内すべての自治体が参加した児童虐待防止に向けた会議が開かれ、すべての自治体が一丸となって虐待の根絶に向けて取り組んでいくことを宣言しました。痛ましい児童虐待事件が後を絶たない中、行政には実効性のある対策を一日でも早く進めることが望まれます。

 

 児童虐待の背景には複雑に絡み合った様々な社会問題が横たわっています。社会問題のしわ寄せはすべて弱者に回ってきます。先日、NHKのテレビ番組で映画監督の是枝裕和さんとケン・ローチさんの対談が放映されました。ケン・ローチさんが是枝裕和さんに語られた中で、「普通の人が持つ力を示し、弱い立場の人を単なる被害者として描くことはしない」といった趣旨の発言をされていました。

 

 人権は与えられるものではありません。市民ひとりひとりに平等に備わった尊重されるべきものです。弱者を憐れむのではなく対等の市民として互いに尊重し合うこと。子どもは施しを受ける客体ではなく、一人の人間として扱われる権利の主体であること。人権をチャリティーと同列に考える風潮に憤りを感じる者として、ケン・ローチさんの信念に共感を覚えます。

 

 

 

 ここで子どもの人権侵害を生み出す様々な社会問題を取り上げた一冊の本をご紹介します。

 

【「子どもの人権をまもるために」 編者:木村草太 発行:株式会社晶文社】

 

 子どもを取り巻く様々な場面で活躍される方々の論考をまとめた書籍です。解決すべき問題の根深さと数の多さに呆然とします。しかし、著者の皆さんは一様に前を向いて問題解決に向けて取り組まれています。この本で語られる現実を知ることは、必ず児童虐待根絶にもつながると思います。ぜひ多くの方に手に取って頂きたい一冊です。     R.01.10.28