災害時に流言飛語が飛び交うのは古今東西変わらないものです。フェイクニュースが溢れる状況で、いのちを守る行動につながる情報をどのように見分けるのか。こんな現代社会ならではの問題をさらに難しくしているのが「正常性バイアス」といわれる心理状態です。
「逃げようと思ったらすでに手遅れで身動きが取れない」状態になる可能性は誰にでもあるのですが、こう言っても自分は大丈夫と考えるのがまさに「正常性バイアス」そのものです。今年から5段階の警戒レベルで防災情報が伝えられるようになりましたが、今月7日に初めて全員避難となる警戒レベル4が出された広島県において実際に避難行動をとった住民はおよそ6%にとどまったそうです。減災に取組む広島県でさえこういった結果なのですから、他の地域でも同様かそれ以下の結果になる可能性があります。
大雨だけでなく地震に関しても同様のことが言えます。山口県において住宅の耐震化への関心はとても低い。「自分は大丈夫、山口県で大きな地震など起きるわけがない。」と考える「正常性バイアス」が蔓延している状況です。例えば「耐震基準適合証明書」は住宅ローン控除を得るためだけのもので、肝心の耐震性能は二の次になっているのが不動産業界の実情、つまりお客様のニーズはその程度と考えられているのです。
「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫。」といった話の方が、災害においてはどんなフェイクニュースよりもたちが悪いのかもしれません。 R.01.06.18