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被災時における居住の権利

 ニュース映像に映し出される体育館の硬い床に雑魚寝させられる被災者の方々。劣悪な環境において困難な避難生活を強いられる現在の避難所の様子と阪神淡路大震災時の避難所の様子には、ほとんど変化が無い様に感じます。

 

 なぜ避難所生活の様子が変わらないのでしょうか。

 

 災害発生時に適用される災害救助法による救助とは「応急的一時的」な救助という性格である為、避難所の設置期間も7日以内と規定されています。そして避難所として指定される学校施設は学校再開の為、避難所の早期解消を求められています。突然の災害により日常生活を奪われつらい経験をされた被災者に、「健康で文化的な最低限度の生活」とはほど遠い避難所生活でも1週間程度くらい我慢しなさいという事なのでしょう。

 

 内閣府が公表した「指定避難所等における良好な生活環境を確保するための推進策検討調査報告書」平成30年8月には、「避難所の早期解消に関する課題」として「避難所の早期解消は必要。避難所運営や環境整備よりも、被災者に早く避難所から出ていただくことを目標にするべき。」という有識者の意見や「避難所は、あくまでも避難所であり、長引くと復旧・復興など次のステップへ進めないので、できるだけ早く閉鎖したい。その意味でも、ある有識者の先生が講演で述べていたが、『ある意味、居心地を悪くする』ことも必要と考えている。」という市町村の意見が記載されています。

 

 災害救助法の趣旨を理解し遵守しようと努力する方々の順法精神には、避難所の環境改善を望む被災者の方々の声も、法の趣旨に背く自分勝手な違法行為として映る様です。居住の権利を保障するとされる憲法第25条だけでは被災者の居住の権利を守る事は難しいようです。     H.30.09.13