『学校と日本社会と「休むこと」 「不登校問題」から「働き方改革」まで 著者:保坂亨 発行:一般財団法人東京大学出版会』
「ようやく日本政府は安倍晋三首相(当時)が議長となって、労働界・産業界のトップと有識者を集めた「働き方改革実現会議」を二〇一六年に発足させました。」
日本国憲法で働くことは国民の義務とされています。
「第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」
「義務教育」と言われる教育についてはどうでしょうか。
「第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」
義務ではなく権利とあります。同条第2項で次のようにあります。
「② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」
子どもを働かせることが普通だった時代からの転換を図る文言です。憲法を知らない、知ろうとしない空気は、教育を受ける権利を教育を受ける義務へと変換されたことに対する違和感を感じない大人を大量生産してきました。
また戦前の教育は、お国のために存在する臣民の義務のひとつとして考えられていました。個人の実現ではなく、国家の礎となる人材の育成です。だから学校を休むことなど、あってはならないことだったのです。皆勤賞もそのような精神を育む目的で作られました。「義務教育」という表現は、かつての忠実なる臣民精神の残滓ともいえるのかもしれません。
「休まないことの美学」は、令和の現在も多くの人々の心の中に存在し続けています。そのため「休むこと」への不安を抱く人も多いのではないでしょうか。生きづらさを抱えながら、今を必死に生きている多くの人に届いてほしい一冊です。






