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住宅の瑕疵

 住宅の瑕疵(かし)とは、本来備えていなければならない性能や品質が無い状態、構造上の欠陥がある状態を指します。

 

 住宅を新築する場合、契約通りの性能・品質・機能が備わる建物が出来上がる保証が無ければ、家を建てる事はとてもリスクの高い賭けの様なものになります。また契約通りであったとしても、そもそも契約に謳われる性能・品質・機能が十分なものかどうか判断できる方は少ないと思います。その様な不安を少しでも解消しようと、平成11年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」、平成21年に「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が施行されました。

 

 いうまでもなく「マンションの構造計算書偽装問題」の様な事はあってはならない事ですが、欠陥住宅等の問題はなくなることはありません。一般の方と建築のプロとの知識・情報量の差はあまりにも大きく、建築のプロが騙そうと思えば一般の方はそれを見抜く術はほとんどありません。欠陥住宅かどうかを判断するには、壁や床などをこわして内部を点検したり、実際に震災に遭う等欠陥が目に見える状態になるまで待つしかありません。もちろん、ほとんどの建築のプロは真面目に住宅を建てているはずです。法律などである程度は保護されますが、最終的には建築のプロを信用するしかない。これが住宅を新築するという事です。

 

 中古住宅の場合は新築時から時間が経過していますから、もし欠陥住宅であれば比較的容易に判断が出来ます。欠陥住宅のリスクを軽減する為の法律である「品確法」や「住宅瑕疵担保責任履行法」は、本来、中古住宅には不要なものです。しかし、最近はリフォームやリノベーション等する中古住宅が増えてきました。それと同時にリフォームやリノベーション工事の欠陥も残念ながら増えています。その為、中古住宅も「品確法」や「住宅瑕疵担保責任履行法」が関係する場面が登場するのです。それとあわせて今年4月から改正宅建業法が施行され、建物状況調査(インスペクション)の斡旋等に関する説明が宅建業者に義務付けられました。建物状況調査は簡易な検査にとどまりますが、建築士が検査する事で欠陥住宅であるかどうかの判断はつくであろうと考えられます。

 

 そもそも全ての建築のプロに責任と自覚があれば、欠陥住宅などあるはずもなく、一般消費者は心配する必要が無い問題です。消費者の理想と現実の乖離に、我々不動産業界は目を背けてはならないと考えます。     H.30.09.25